防音ドアが苦情をなくした、というお店を知っています。私達夫婦が良く二人で出かけていた頃、私はお酒が一滴も飲めない、という体質ですが、主人は大好き、ということで、よくいくお店があったのです。そのお店は、結構若い子が来るお店で、いつもカラオケや大きな声でにぎわっていたのですね。
防音ドアはついていなかったものの、防音の壁になっていたので、音は大丈夫だろう、というつもりでいたそのお店のママは、ある日、こんな張り紙が最近貼ってあるのよ、と私たちに見せてくれました。張り紙には、「営業時間を考えろ、音がうるさいぞ」と書いてあります。ですが、飲み屋ですからね、営業時間は遅くなるのも仕方のないことだし、カラオケの音がうるさいのも仕方がないことです。
防音ドアをつけたら、と提案してくれたのは、そのお店にいつも来ていた、建設会社の若手。以前、別の飲み屋のリフォームを手がけたときに、やはりそこのお店でも、近所からの苦情に困っていて、防音工事はもちろんのこと、防音ドアを取り付けたそうなのですよ。その飲み屋も、壁にはある程度の防音設備が整っていたようですが、防音ドアは予算が足りず設置できなかった、というのですね。ですが、リフォームの際に、この防音ドアにして、苦情はなくなった、という話だったのですよ。
防音ドアをつけることで、周りの方々に迷惑をかけないのであれば、ということで、結局その飲み屋も、防音ドアを取り付けることになったのです。予算の都合上、大きなリフォームは出来ない、ということで、そのお店の壁の遮音性にあわせた防音ドアを取り付ける、ということでした。
防音ドアを取り付けたお店に行った私たちはあることに気がつきました。普段、常連さんとして通っていた私たちにとって、お店のドアからこぼれてくる音はこのお店に来た、という意識しかなかったのですが、防音ドアを取り付けた後のお店付近に来てみると、確かに以前よりも格段に静かなのですよ。なるほど、私たちには気にならなかった音も、周りの関係のない方々からすれば、毎日聞こえる耳障りな声、音だったんだな。それ以来、張り紙はされなくなった、といいますから、防音ドアを取り付けて本当に良かった、と言うママは、ほっとした表情でした。